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かおりのきおく (第一部)



まずは梅。春のさきがけ。何とも言えないあの濃密な香り!
見て良し・嗅いで良し・食べて良しの梅とは、
なんと贅沢な存在でござましょう!


梅の場合はこんなに花に近付かなくても、まず香りが届いて、そこで梅が咲いている事に気付いたりする。
同時に、今年もまた違う事無く春がやってきたのだなあと気付かされる。




いろんな梅の花があるけれど、香りはどれも同じなように思う。
よく、「地味な原種の方が良い香りで、派手な園芸種は香りが弱い」ってパターンがあるけど、梅はそんな事無いと思う。どれも香り高い。
ゴージャス!
(三重県津市 結城神社)


うわー梅の香りのかたまりが津波のように押し寄せて来るぞー!
(結城神社)


奈良県五條市の賀名生梅林(あのうばいりん)。梅の実をとるための梅林で、日当たりの良い急斜面が、一面梅の色と香りに覆われる。
そのちょっとの合間に家や道が見え隠れって感じ。
濃密な香りに包まれて、坂道をあちこち散策。体の中まで梅が咲いたじゃないかっていういい気分。

いわば梅の実の副産物なのに、主役になれる。全くおいしい植物だ。


梅の海。
細かいところを鮮明に写せなかったのが残念。ご容赦くださいまし〜。
(賀名生梅林)







梅の実もとっても良い香りなんだけど、良い写真が無かった。残念。
梅の実は、青いうちに収穫しちゃったり、完熟すると木から落ちちゃうみたいなので、なかなか良い被写体に巡り会え無いかもしれない。
バケツにごろっと積まれた、梅干用のよく熟して黄色くなった実の、あの甘酸っぱ〜〜〜い香り。素晴らしい!
ず〜〜〜〜っとかいでいたい。
「お部屋の香り 梅の実」とかあったらいいのにな〜。(もうあるかも)



蝋梅(ろうばい)。梅とはまた違った良い香り。
名前に梅ってあるけど、梅の仲間じゃない。ロウバイ科ロウバイ属。花もそんなに似ていない。
でも梅と同時期に咲くので、一緒に見かける事が多い。
つるっとして半分透き通った花びらが、正に繊細な蝋細工のよう。
でも蝋のにおいは致しません。(当たり前)



沈丁花(じんちょうげ)。
梅の時期から桜の頃まで、結構長い間楽しめるような気がする。
私はこの香りがもうもう大好きでございます!
春の沈丁花、秋の金木犀。心待ちにする香り。
ずっと身近で香っていてほしい。
(度会郡大紀町 大蓮寺)



愛知県豊田市の豊田スタジアムの横にあった菜の花畑。
春の陽にじっくり暖められて、一面蛍光イエローに光りながら匂い立っていた。
なんかパワーを貰えるような感じの香りだと思う。

(この時は)摘み取りオッケーだった。手折った時の新鮮な香りも、春の化身っぽくてまた良し。
菜の花ご飯もいとをかし。炊き立てのあの香りを思い出して、食べたくなってくる。




映っていないけど、菜の花にはモンシロチョウがとても似合う。
菜の花の蜜、おいしそう。


日の光に熱せられた畑(土)のにおいってのも、とても気分が良いにおい。


やがて花が散って、種ができると、それから菜種油が取れる。
油料理も大好き!ヽ(゚∀゚)ノ


クローバー。シロツメクサ(白詰草)。
こちらは花の香りっていうより、地面に顔を近づけた時の、様々な野の草と土とのミックススメルでございますね。

昔、海外から運ばれて来るガラスの食器類の緩衝材として、これを乾燥させたものが詰められていたのが名前の由来とか?
なんと素敵なナチュラルギフトボックス。
今でもやってみたらステキなんじゃないだろうか。
バラバラになっちゃって使い勝手が悪いだろうか。
また機会があったらやってみよう。


そのにおい、好き。 「みんながんばってる」って感じがする。
「私も負けてはいられない」って思ったりする。



つくし(土筆)。土の筆。
摘み取った時の汁のにおいとか、頭から振り出る緑色の胞子の土くさいにおいとか。
袴と頭(好みで)を取って、醤油と砂糖で炒めて食べる。
馴染みの甘辛さの中に混じる、馴染みの薄いほろ苦さ。



ハコベ(繁縷)。 私はハコベラって呼んでる。いくつか種類があるみたい。
鮮やかな緑色の葉と、白くて可愛い花が、とてもすてき。
こちらも花のにおいはわからないんだけど、昔飼ってたインコにあげる為に、前の道端で摘み取った時の、葉の新鮮な香りが蘇ってくる。
ジャンルとしては、青臭さ? まあ葉もの野菜の香り。
インコの籠に差し入れると、凄くうれしそうにシャクシャク言わせながら丸ごと食べていた。
野の花を食べるインコも可愛いなと思ったが、おいしく戴かれてるハコベラもとても綺麗で素敵だなと思った。



フリージア。半径2.5mくらいに強い香りを漂わせているように思う。←数字は適当。
庭で咲くと、よく家の中の花瓶に生けられるんだけど、そうすると家に入った途端にそれがわかる。家の中がフリージアの香りでいっぱいになってる。

それにしても、香りを言葉で表すの、難しいな!語彙が全く足りてない。
フリージアの香りを言葉で表すのは、どのようにすればいいのか。
フリージア臭としか。



水仙。 寂しげな色合いのものしか無くて残念。
でも控えめにうつむいて咲く水仙には、こういう雰囲気も似合っているかな?
水仙は、種類によって結構においが違うように思う。
このオーソドックスなタイプのものは良い香りだと思うんだけど、すごく苦手なにおいのするものに近年出会った。
真っ白な水仙なんだけど、何とも言えない花っぽく無いにおい。無理やり例えるなら、どこか異国の食べ慣れないスパイス料理の匂いというか…。
母は全然気にしていなかったので、人それぞれの好みなんでしょね〜。



お次は蘭。
高貴ってイメージの香り。天然の香水っぽいというか。でもあんまり一般的な香水に「蘭の香り」って無いような…?
流行の香りじゃー無いからかな?
かくいう私も、フルーツ系の甘〜い香りの香水が好き。

そもそも、蘭のにおいってわりと多様で、全然においのしない蘭も多かったはず。
植物園とかで、「この蘭はどんな香りかな?」って嗅いだら、植木鉢の土と肥料の匂いだったりする事、よくある(^^;)
後は、花の後ろとか変な所から出ている蜜の香りだったり。
なので、この写真の蘭達も、実際には匂っていなかったかも?
まあイメージって事で、いかにも匂ってそうなのを選択致しました。


名古屋ドームでやってた花のイベントの時の。
どこもかしこも花まみれ!
でも室内なので、暗めで、写真が手振れしがちだったのが残念。


こういった色ムラ(グラデーション)のある品種の方が、1色のものより、「中からにおいが湧き出して来る」ってイメージがある。


優美なカトレア







あけび(木通)。
あけびの名前自体は知ってたんだけど、花とか実とかはどんなものなのか知らなくて、
時折茂みとかで見かけてたこの可愛くおしゃれな花があけびの花だと知ったのは、わりと最近のこと。
その花が、わりとこうあったかいような質量を感じる香りを漂わせているのに気づいたのは、もっと最近のこと。
なんて素敵な存在なのでしょう!
実はあんまりおいしいとは思わないけど!(^^;)

葉っぱもステキな感じなので、ちりめんとかでかんざしとかの髪飾りのモチーフにしたらとてもステキになりそう。
(五十鈴川沿いの道)


半径60cmくらい香ってるような気がする。
同じ蔓から大小2種類の花が咲いている。
中央の大きいやつが雌花で、後ろの小さくて数が多くて色の濃い部分(雄しべ)がくるんと丸まってるのが雄花なんだそうな。
それぞれ色も違うし、変化に富んだ感じでホント絵になる植物でございます。すてき。

上のピンクっぽい写真に比べて、下のものは、紫色が強い感じですね。写真の撮り具合だろうか。



時々たけのこ掘りに連れってもらう。
主に小さな地面の盛り上がりを見つける係で、ほとんど肉体労働をしないんだけど(^^;)
あとは、ちょっとでも荷物を軽くするように、その場で皮をむく係。
(↑皮をむいてからあく抜きするまでに時間が空くと、よりえぐみが出やすいとも聞くけど…)
辺りに満ちる、濃厚なたけのこの匂いと、土の匂い。
おいしそうだけど、生のまま食べたら超えぐいんだろうな〜〜〜。



ヨモギ(蓬)。
おなじみの香りですね!ジャパニーズハーブ。
昔、よもぎ餅を作る為に、その辺に生えているやつの、先っぽの柔らかい部分を摘み集めた事がある。
茹でて、細かくして、餅に混ぜる。
薬っぽい香りがプーンとする、渋めの緑色をした、ツヤツヤ柔らかなよもぎ餅のできあがり。
「その辺に適当に生えている雑草なのに、食べられるなんて不思議」って思った。

ヨモギの葉の裏は毛が生えてて白っぽい。
伊吹山の頂上付近に一面生えていて、ざざーっと風が吹くと葉が翻って銀色に光り、まるで緑色の海の波頭のようで綺麗だった。

こんな感じ。 …動いて無いとわかりにくいな!(^^;)



たぶんミント(薄荷)。
葉をそっと指で摘むと、おなじみ歯磨き粉のにおい(笑)
もしくは、こじゃれたデザートに添えられた一片。←残さず食べる主義。
ひとくくりにミントと言っても、種類は色々あるみたいで、においが弱いものとか、ちょっと妙なにおいがするものも。

ちなみにハーブ園に行くと、片っ端から葉っぱをさわってにおいを確認する主義。
感覚的に、2〜3割は「くさっ!」となるハズレなにおいが紛れ込んでいるように思う。
そしてハズレなにおいほど、いつまでも指先に残り続ける謎の法則。


産毛みたいなのが生えてて、白い縁取りになっていてステキ。
割とその辺にフランクに根付いているように思う。 結構強いんですね!



ライラック。
お香とか石鹸とかいろんな香りグッズに使われているので、名前は知っていたんだけど、実際に見たことは無かった。
なんとなく、おしゃれで上品なイメージがあった。
最近行った植物園(滋賀県のガーデンミュージアム比叡)で見かけた。
まさか大木に咲く花だったとは。
ベンダーやストックあたりと混同していたのか、草だと思ってたですよ。

下のほうの枝にも咲いていたので、においをかいでみた。
おしゃれで上品な感じの良い香りだったけど、時期が悪かったのかな?においはかすかにしただけだった。

4つに分かれた花弁が、まれに5つになっているのがあり、見つけると幸せになれるとか!
↑しかしこういうのって、見つけた時点でもう幸せになってるというか、運を使い果たしてるというか(^^;)
そんなこんなで、ステキ要素が色々たっぷり詰まったステキなお花でございました。



ジャスミン。半径1.8mくらいまで香りが届く気がする。←数値は適当。
なにしろたくさん咲くからね〜。モッサリ咲いてガンガン香ってます。
ジャスミンと言えばジャスミンティー。←かなり好き。
花が入ってるのかと思ったら、花で茶葉に香り付けをしているんだそうな。なんと贅沢。

あら、上のライラックもジャスミンも、モクセイ科なんですって!
キンモクセイもそうだし、香り高いものが多うございますね!モクセイ科ステキ!
しかし蔓になるジャスミンがモクセイ科とはね〜。科ってのは幅広いな!
幅広いと言えば、ジャスミン自体も種類がたくさんあるみたいで、こちらも水仙同様、私の苦手なにおいがするものがある。
そう言えばその苦手な2つ、同じようなにおい。同じ成分が入っているのかな。
香りの勉強をしている人なら、「ああ、苦手なのはあの成分だな」って、わかるのかな。



ニセアカシア。
国道1号線を京都方面へ向かう途中、滋賀県湖南市あたりの野洲川沿いに、たくさんの木が白い花を咲かせていた。
「名所にする為にわざと植えたんだろうか?」と思うほど、本当にたくさん、広範囲で咲いていた。
でも生え方に規則性が感じられ無かったので、単に繁殖力が強いのかもとも思った。

この時期に木に咲く白い花を知らなかったので、「あれは何の花だろう?」と気にしつつ車を走らせてたら、
道路のすぐ側で咲いているのを見つけて、すかさず車を止めて見た。
結構大きな木で、葉も花もその香りも、藤の花にそっくり。
でも、蔓じゃないから、藤じゃない。

帰ってから調べてみて、「ニセアカシア」と呼ばれる木という事を知る。
和名はハリエンジュ(針槐)。
藤とは、マメ科繋がり。

それにしても「ニセ」アカシアとは。
調べてみたら、先に「アカシア」として日本に来たのがこれだったみたいで(どういう手違い?)、その後本物が来たので、こっちに「ニセ」を付けたのだとか。
でも日本人が一般的に「アカシア」と呼ぶのはこっちみたいで、若干混乱があるとか無いとか。
本物のアカシアは、ネムノキ亜科で、花は黄色くて、毛玉みたいに丸くなったものがいくつも房状に固まって咲く。(私はまだ本物を見た事が無い。)
葉の形も違うし、全然似ていない。
なぜ最初にこっちがアカシアって事になったのかな〜。

そしてこのニセアカシア、緑化や砂防の為に植えられたものらしいんだけど、
(それが利点でもあるんだけど)やっぱり繁殖力が強いらしく、生態系を乱しているのだとか。
こんなに綺麗な木なんだけど、外来種導入はやっぱりいろいろ難しいですね。

私的には、緑と白の組み合わせはさわやかさを感じて好きなので、「花咲くニセアカシア並木通り」とか、とてもすてきだろうなとは思う。
いいにおいだし。
でも名前は、「ニセアカシア並木通り」より「ハリエンジュ並木通り」の方が、いいんじゃないかな。



お次はニセアカシアと同じマメ科のフジ。花も、香りも似ている。
シャンデリアのように垂れ下がって風に揺れながら、豊かな芳香を振り撒いている。
なんてステキ。


薄紫または薄ピンク。
宝石で言えば、ローズ・ド・フランスアメジストか、クンツァイト。
どの色の藤も、等しく良い香りがする。贅沢。
無骨な感じの黒々とした蔓と、瑞々しく柔らかな感じの花と葉が、好対象。


藤色の雨が降っているよう。
実際この下に立つと、香りのシャワーを浴びる事になる。
(愛知県津島市 天王川公園)

アメジストの事を業界用語(?)で「アメ」と言うらしいけど、イメージが重なるな!
紫色のアメ。


ながーい房がゆったりと風に揺れていた。なんて風流。


花の密度が凄い。葉っぱがほとんど見えてない。


おいしそうなピンク色


湧き上がって零れ落ちる。滝のよう。
(津市 かざはやの里)



5月の熊野市は、地域全体がみかんの花の良い香りに包まれていた。
なんと贅沢!!


みかんの花は黄色いイメージがあったけど(←安直)、白色だった。
かおりも、みかんの実の匂いとは全然違う。←当たり前
花は、とても濃くさわやかな良い香りで、「実も花も香り高いなんて、みかんって贅沢だなあ!」と思った。
それからと言うもの、いまいちピンとこなかった「み〜かん〜のは〜なが〜〜 さあいて〜いる〜〜〜〜〜」の歌、
聞くと香りが蘇るまでになったのでございます。

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